■アオマルメヤモリの飼育
本種の飼育にあたって
本種は気難しさのない素直で陽気なヤモリです。最初に環境さえキチンと整えてあげれば飼育は容易と言って良いでしょう。しかし彼らはその身体の小ささから外的要因による影響を大きく受けやすくもあり、調子を崩した際、様子を見ながら飼育環境を修正していく時間的余裕を与えてはくれません。
取り敢えずの雑な環境で飼い始め、環境の不備から拒食や脱水でもしたら、立て直す間もなく決着がついてしまうでしょう。
くれぐれも事前の環境づくりには手を抜かず、完璧に整えてあげてください。
それが人間である我々飼育者の、滅びゆく小さな友に対する大きな責任です。

ケージ



■ケージ
一生を木の上で暮らす樹上性であることから、ケージには面積よりも高さが求められます。
具体的には単独飼育で幅20cm×奥行20cm×高さ30cmが最低サイズでしょう。
ペア飼育の場合は幅30cm×奥行30cm×高さ45cm程度が望ましいサイズです。
もちろん広いに越した事はありません。ケージが広いと温度や湿度に勾配ができやすく、生体が自ら好適環境を選択しやすくなる為、より飼育が安定します。
照明に紫外線灯(後述)を使用する関係上、天井部はメッシュ加工(ステンレスの金網等)になっている必要があります。
■通気性
非常に重要な要素です。本種に限らずケージ内で飼育するあらゆる動物に「蒸れ」は厳禁です。通気性の悪いケージでケージ内が高温になってしまうと、どんな生物も驚くほどあっけなく死亡してしまいます。
ケージ下部と上部に空気の通り道がある事により、ケージ内に外からの空気が循環します。
各社より発売されているビバリウム専用ケージはそのあたりをを考慮して作られている為、それらを使用するのが最も安定するでしょう。
■ケージの設置場所
樹上性種の特徴として上から見下ろされる事を極端に嫌います。ケージは人間の目線より上に設置し、彼らが飼育者を見下ろせるようにするのが良いでしょう。
また、頻繁に出入りのあるドアの付近や、足音などの振動が伝わりやすい場所も彼らが落ち着けず良くありません。
その他、天敵であるヘビや鳥、室内飼育の猫等が視界に入る環境も彼らを怯えさせる原因となります。ストレスにより体色が黒ずんだり、餌を食べない拒食の状態になってしまう恐れがありますので注意が必要です。
■レイアウト
日中活発に立体活動するのが本種の魅力です。多くのヤモリ類と同様に足の裏に趾下薄板を持つ本種は、ガラス壁面や天井すらも活動域にしますが、より自由で安定した立体活動が出来るよう、ケージ上方に水平の足場があると良いでしょう。枝や流木を横方向に設置するのがおすすめです。
■植物のすすめ
鉢植えのビバリウムプランツ等の植物を設置すると、その枝や葉が活動スペースになりますし、葉陰が適度な目隠しになり生体も落ち着きます。
また、葉の表面が霧吹の水滴を程良く留めたり、葉からの蒸散等によって湿度が保たれたり飼育環境が安定しやすいでしょう。森を再現し、その中で活き活きと躍動する本種は大変見応えがあるものです。
■床材
基本的に地面には降りませんので底床はキッチンペーパーや新聞紙を敷くだけでも問題ありませんが、用土やソイルを敷くと植物の成長や湿度の維持、排泄物の分解等が期待できます。ただしダニやコバエなどが発生するリスクもある為、日頃の注意が必要です。